主人公の母を演じた薬師丸ひろ子は、主人公酒井峰治を演じた山下智久の実の両親と同い年だそうである。親と子というものは世代が離れているようで、実はそんなに離れていない。
ドラマ「白虎隊」を見終わったあと、白虎隊に関していろいろネットで検索したみた。このドラマの主人公酒井峰治は実在の人物で、近年発見されたこの人の手記が、このドラマの下敷きになったようだ。
この酒井峰治という人は大往生で、昭和6年に亡くなっている。ちなみに飯盛山で自刃した白虎隊20名のうち、一人だけ一命をとりとめた飯沼貞吉も同じ昭和6年に亡くなった。
この昭和6年は、まだ全然元気な私の父親が生まれる2年前の話だ。白虎隊隊士は私の父の祖父であったとしてもおかしくない世代だったのだ。
白虎隊の悲劇は、ついこのあいだ起ったことだったのだ!
刀で日本人同士が斬りあう白虎隊の世界が、実はそんなに昔の話でないということに、もっとも衝撃を受けた。
「白虎隊」前半はきわめてレベルの高いドラマだった。後半に否が応にも期待が高まったが多少肩透かしをくらった。
白虎隊が出陣するまでは前半同様のクオリティを保ったが、出陣後は史実というか「手記」を忠実に追いかけすぎたのだろう、ドラマとしてのリズム感はあまりよくなかった。
ただし視聴者を泣かせよう泣かせようとする下品な手法に走らず、最後まで演出に清潔感があったことは賞賛されるべきだろう。
このドラマの最大の見せ場は白虎隊隊員のそれぞれの母と子の別れだった。歴史ドラマでは、今風の母と子の、今風の別れに歪曲されて描かれるのが常だった。だが今回のドラマでは、それぞれの母と子が武士の母の建前と武士の建前で別れを告げるところが美しく涙なしには見れない名場面だった。白虎隊は今でいえば高校1~2年生であるにもかかわらずである。武士道は男子も母もがまんの美学だったのだ。
今の時代、このストイックさ、抑制感が限りなく美しく感じられた。江戸時代、武士の家庭では実の母と子の間ですら、ある種の社会性や高い道徳規範が存在したのだ。
このドラマは大傑作ではないが、なかなか立派な作品であることだけは間違いない。しっかりしたメッセージと美意識のあるドラマだった。
日本人は美しい民族である。それぞれの時代の歴史ドラマは別に今風に下劣なアレンジを施す必要など全くなく、その時分その時分の価値観に殉じる人たちの姿を忠実に描きさえすれば、今の我々の魂をも揺さぶる真の名作ドラマになりうると私は確信している。
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2007/01/08 10:40
2007/01/09 14:50
mizoさん、こんにちは
このドラマをみていて白虎隊の話は、忠臣蔵や義経・弁慶なみに日本人に普遍的に訴えかける力があるなと思いました。
忠臣蔵は隊士の切腹で完璧な世界になりました。
白虎隊の話は、殿様(松平容保)や家老の西郷頼母が責任をとって切腹していれば、より美しい話になったとも思いました。
2007/01/09 23:51
こんにちは。
確かに脚本はずば抜けて良かったです。
後半は僕もアラが見えてしまいちょっと残念でした。
会津戦争の遺体は放置されたままだったそうで、埋葬も許されなかったそうです。また会津は改易で今のむつ市のある斗南藩3万石(実質7000石)に移転され、さらに地獄を見ます。
僕は「なぬらものはならぬ」という掟が頭から離れません。
2007/01/10 01:02
wingsさん、こんばんは
余韻の残るいい作品でした。弱点を指摘することはできますが、テレビにおける歴史ドラマの新境地を開いた作品として評価されるべきだと思います。
白虎隊は何度かドラマ化はされたようですが私は今まで見たことがなかったので史実を知る上でも勉強になり新鮮でした。
今回の方向性に沿うかたちでまたこの素材のドラマをみてみたいと思いました。
「ならぬものはならぬ」もよかったですね。日本では何でもかんでも価値観の多様性は善であり時代の方向性と考えてきたフシがあります。左翼が革新の名の下にそれを実行してきました。今後は「ならぬものはならぬ」のコンセンサス作りが大事だと思います。私はたくさんあっていいいと思います。
鶴ヶ城は大砲でボコボコにされますが、お城明け渡しの際は、会津の人間が一所懸命みなで掃除をしていましたが、ああいう描写も日本人らしくて良かったですね。
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