寺島しのぶの結婚会見は幸せに満ちていた。そしてたいへん好印象なものだった。しかしそれ以上に好印象だったのが父親、尾上菊五郎の会見だった。私が一番好きな歌舞伎役者である。遊びも芸の肥やしというが、この人を見ていると本当にそうなんだろうなあと思う。もうけっこう年なのにものすごく品のいい色気がある。舞台の上はもちろん、こういった会見ですら色気がある。しかも話が抜群に面白い。また時々飛び出す江戸っ子ことばも当たり前のことながら板についているし、かっこいい。歌舞伎番組でよくインタビューを受けているが、いつも饒舌でしかも誠実な人柄がにじみ出る。正真正銘、当代随一の歌舞伎役者だと思う。
さて娘の寺島しのぶの会見に話を戻す。
昨日の寺島しのぶの会見で個人的に一番気になったのは、男の子が生まれたら歌舞伎役者にしたいという発言だった。いうまでもなくこのことは、歌舞伎界はじめてのハーフ役者の誕生を意味する。
寺島しのぶは、歌舞伎役者になりたかったのだそうだ。しかし女であるが故、なれなかった。このことを彼女は手記に書いてもいるが、なれなくて残念だったという感じではない。自分の性や歌舞伎に対して、不条理感というか怨恨、怨念すらにじませていた。歌舞伎の家に女の子供は不要で自分は不要な子供だったみたいなことも書いている。
寺島しのぶは市川染五郎との恋にやぶれたときも心の傷を隠そうとしなかった。こちらも手記に書いたりインタビュー等で何度もその挫折感、苦しみを語っている。菊五郎家は超名門だが染五郎の幸四郎家も負けずに超名門である。うがった見方だが、彼女は染五郎との間の男の子が本当に欲しかったのではないだろうか。歌舞伎界の御曹司を産みたかったのではないだろうか。
しかし彼女はまた歌舞伎に裏切られてしまった。
情念の女、寺島しのぶは、わざと外国人と結婚したのではないだろうか。歌舞伎に対して復讐するためである。性差の壁はあまりにも高く乗り越え難かったが、ハーフの子供を産み、その子を歌舞伎の世界に入れることで歌舞伎の伝統に対して一矢報いるというか破壊してやろうという魂胆があるのではないか。
このエントリーをバカな妄想と思われるかたも多いだろう。しかし寺島しのぶという女優の人相には火のような烈しさがあるし、その発言には情念渦巻くものが多い。
勝手にこんな仮説でも考えてみたくなる。
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