伊達政宗が初登場した。番組の冒頭、伊達政宗の身長は159.4センチとか血液型がB型だったとか、兼続より7歳年下だったという説明が行なわれた。さして重要な情報とも思えなかったが、松田龍平演じる伊達政宗が映像として登場したさい、「なるほどね」と思った。大河ドラマで伊達政宗といえば、渡辺謙の『独眼竜正宗』を多くの人がまず思い出すはずだ。しかし松田龍平の伊達政宗は渡辺正宗に比べ、あまりにみずぼらしく、そして貧相だった。髪型はだらしなく乱れ、チンピラのようだった。貧乏長屋で傘作りの内職を行なっている素浪人(しかも結核もち)風でもあった。渡辺正宗のイメージを払拭・牽制するために、わざと身長159.4センチとか兼続より7つ年下(若輩)と説明したのだ!ちなみに正宗の正妻は渡辺謙の娘でモデルの杏が演じていた。それにしても松田龍平は演技がド下手だ。弟の翔太のほうがはるかにいい。
秀吉の意向を受けた上杉景勝は、兼続を名代にたて、伊達家に派遣した。正宗と兼続のシーンは、正宗は戦争狂、兼続は平和の使者として描かれた。会談は決裂し、兼続は正宗に危うく斬り殺されそうになった。
大阪城内で行なわれた秀吉のヘッドハンティング謁見のさい、兼続はサヤから抜いた真剣を首元に突きつけられた。『天地人』では、刀が安易に抜かれる。真田幸村が泉沢元秀に対し、槍の真剣勝負を安易にしかけるシーンもあったし、手傷を負った初音が京の兼続宿所に逃げ込んださい、真田幸村率いる手下の忍が、兼続に向け、安易に手裏剣を投げつけるシーンもあった。後先考えず、ハラハラドキドキだけを狙ったチープかつ無節操な演出だ。
伊達家を訪れ、戦争はよくないみたいなことをほざいていた兼続だったが、次のシーンはいきなり上杉の大将として、佐渡侵略(ドラマでは佐渡平定といっていた)をはじめた。伊達の戦争は悪だが、上杉の戦争は善らしい。佐渡の覇者本間高統の居城(河原田城)を落城させたあと、床几に座る本間高統の前に兼続や泉沢元秀は床に直接座り、頭を下げ、「これにてどうか矛をおさめられませ」とか「本間様、私は戦をしに参ったのではありません」とかいっていた。先に剣を抜き、戦をしかけたのは上杉方であるにもかかわらずである。(笑)このあと「いたずらに兵を失うのではなく、本間様、よき国づくりのため是非お力をお借りしたく存ずる」と続け、さらにナレーションが「上陸から12日間、こうして本間家を降伏させたのでございます」と語った。
このシーンをみたほとんどの人は、上杉家と本間家はその後力を合わせ、佐渡を発展させていったに違いないと感じたはずだ。しかし実際は、河原田城落城時、本間高統は嫡男統之とともに自害した。落城後の兼続高統会談など嘘っぱちだ。兼続は本間家を降伏などさせていない。兼続は本間家を滅ぼしたのだ。(参照:ウィキペディア『本間高統』) (そういえば本間高統を演じた役者は『Gメン75』の夏木陽介に似ていた。

本間高統(春田純一)
本間家を滅ぼして手に入れた金山で、金山奉行のような仕事をしている兼続のもとに、伊達が葦名を滅ぼしたことを知らせる書状が届いた。自分たちは佐渡を侵略、金山を強奪しておきながら伊達の葦名侵略を猛烈に批判していた。佐渡金山強奪は、『義』の平定、『愛』の平定で、戦争ではないというのが、お粗末先生(小松江里子)やNHKの解釈らしい。
兼続が伊達の葦名侵略を知ったあと「このとき兼続は戦なき世の中への道のりはまだまだ険しいものだと思い知るのでありました」というナレーションも入っていた。
自分の戦争は愛だの義だのという。そして他人の戦争は猛烈に批判する。こういう人間が一番性質(タチ)が悪い。最悪人間だ。麻原彰晃のポアと同じだ。
番組の後半、御館の乱で上杉景虎の参謀役をつとめた遠山康光が再び登場した。北条からの使者として家康の前に現れた。史実では御館の乱のさい、上杉景虎とともに自害したのだが、なぜかまだ生きている。もうなんでもありのドラマだ。
お粗末先生は自分勝手な妄想で、史実の直江兼続とは何一つ似ていないグロテスクな人物をつくりあげた。史実の兼続は戦国時代の価値観の中を生き抜いた人物だったが、お粗末兼続は「愛の世界(お粗末ワールド)」の住人にされてしまった。当然のことながら本物の直江兼続の行動原理をお粗末イデオロギーで説明できなくなる。そこで佐渡侵略は戦争ではなかったとか、本間高統はあたかも死ななかったかのような捏造演出が行なわれる。
都合の悪い史実を捏造・隠蔽するのは、韓国や中国の歴史教科書のようだ。(たとえば韓国では丙子胡乱の顛末、三田渡の盟約、下関条約、済州島4・3事件、保導連盟事件、国民防衛軍事件など、きわめて重要な数多くの事実が隠蔽され、教えられない)
NHK『天地人』はどんどん悪質さを増している。


by tororogohan
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